新製品Bang&Olufsen無線スピーカー(第2世代)を部屋に置いたら、上等な音楽を聴きたくなって。
もしも唐突に誰かから、
「いちばん好きな映画は?」
と尋ねられたら、皆さんはどうお答えになります?
私の場合は、
「『X-メン』シリーズかなあ …… いや、『メン・イン・ブラック』シリーズかも」
と応じるんですよね。
ただそんなとき、相手が期待してた答えじゃないらしいと反省(?)することしばしば。
例えば、ジム・ジャームッシュ監督作品(近年は『パターソン』という受賞映画も)や、アンドレイ・タルコフスキー監督作品(『惑星ソラリス』とか)を挙げるほうがいいのかもしれないんですけど、
それらは10〜20代の頃に夢中になった、自分の “過去の記憶” 。
いま現在、家の仕事デスクにどん!と置いた大画面27インチモニタのパソコンで、
Amazonプライム・ビデオで繰り返し観てるのは、
X-メン、メン・イン・ブラック…… 『ミッション・インポッシブル』シリーズ、『スタートレック』シリーズ(J.J.エイブラムスによる現代版)。
ジャームッシュもタルコフスキーも、ルイス・ブニュエル監督(代表作『ブルジョワジーの密かな愉しみ』)も若い頃に衝撃を受けましたし、
無駄に年を重ねた自分の美意識や価値観に大きく影響してる気がするものの、もう長いこと観てませんしね。
「好き」と口にするのに違和感があると、思ったり思わなかったり。
そんな我が家に、発売直前のバング&オルフセン「A1」第2世代が届きました。
なにせ同社製のワイヤレスイヤホンに心を惹かれ、
このPen Onlineでも紹介記事を数本書かせていただいている私のこと、
ブルートゥース接続で音楽を飛ばせる小型スピーカーも気にはなっていたのです。
でも、
「同様のSONY製品使ってるし。何個もいらないし。MP3時代になってから家で音楽聴かなくなったし」
と、積極的に導入することはなく。
今回がチャンスと思い、この新製品を試してみたら……、
いい!
むっちゃいい!
なにがって、
音のツブが輝いてる!
低音の量感もどっしりと!
もはや “音楽鑑賞” レベル!
置く場所が自由なポータブル・ワイヤレス・スピーカーは一般にBGM用ですから、有力メーカーの上位製品でも価格の相場は2万円前後でしょう。
対してA1は約3万円ですから音質も期待するところとはいえ、
3つのマイクや精密な電子機器を搭載しながらの(さらにデザインも高品位)、この価格でこのクオリティは家電としてちょっと驚けると思います。
モノラル構造で、スピーカーはウーファーとツイーターの2機搭載。
モノラルでも音が全方位に広がるので、ステレオでなくても私的には不満なし。
(2台を購入してリンクさせればステレオ再生できます)
重さはずっしりきますよ。
カバンに入れて毎日持ち歩く気はしない程度。
吊り下げるなら耐えられる場所を探しましょう。
ただこの第2世代は深さ1mの水に30分沈められる、IP67等級の防水・防塵性能(iPhone7以降と同じ)を新搭載。
本革のレザーストラップも防水加工済み。
アウトドアに持ち出す人が増えそうです。
北欧インテリア界で名が知られたデザイナー、セシリエ・マンツによる筐体は、ストイックで温もりもある美しさ。
彼女は親日家らしく、北欧デザイン好きが多い日本人の感性に合うのも納得。
きっと和室に置いてもフィットします。
色は掲載品は黒で、グレーもあります。
上部がアルミニウム、下部がポリマー樹脂。
黒のアルミニウムも色は少しグレーがかってます。
下部の周囲に、文字通りのフラットデザインでボタンが配置されてます。
ただこのストイックさが、使いやすさを犠牲にしてる感はいなめず。
無使用状態が15分過ぎると電源が切れ、手動で押し直さねばならない電源ボタンだけでも、
凹凸や内蔵照明で目立たせてほしかったですけども。
暗がりだと、どこを押せばいいのか判別できず。
手が場所を覚えるまでの辛抱かな。
第2世代になり、アマゾン・アレクサの音声アシスタントにも対応。
まー、使う人は限られそうですね。
(「おいアレクサよぉ、うるせーからもちっと静かにしてくんねーかな!」、と言ったら軽く音量が下がるほど賢く日本語に対応されたら使う。機械に気を遣って言葉を選ぶなんてまっぴら)
充電はUSB(タイプC)で、所要時間は約2時間43分。
中音量時の最大再生時間は、約18時間。
大音量時だと、約3時間。
小音量時には、約48時間。
音質は音の分離のよさと高音領域が好きな人に向くと思われます。
キメの細かいシャープな鳴りです。
ノーマル状態で使うと、各音域のメリハリは控えめ。
ところが、バング&オルフセンの専用アプリ「Bang & Olfsen」でイコライザ処理すると、
別モノのごときアレンジが!
小型スピーカーながら、ワクワクするほどの音楽を体感できるのは、
最新テクノロジーの成せる技。
「原音再生」がオーディオの理想だった時代は過去のもの。
自分好みの音質を追う個人主義でOKなんですね、現代は。
外出自粛を受け人混みに行かなくなり、最近の近所歩きでは機動力がありつつも音質はいま一歩な完全ワイヤレスイヤホンの出番が減りました。
音質が格段に上の、3万円代のコードつきイヤホンをもう一度愛用するように。
(DUNU-2000)
この上質気分に今回のスピーカーの楽しさが加わり、疎遠だった音楽を再び部屋に流すようになりました。
例えば、まだ数百枚はCDを持ってる、1960年代を中心にしたモダンジャズ。
前衛的サックスのエリック・ドルフィー、華やかなトランペットのフレディ・ハバード、シャープなピアノのレニー・トリスターノ、異色のコンポーザーのチャールズ・ミンガス。
クラシック音楽なら、20世紀初頭の作曲家モーリス・ラヴェル、ガブリエル・フォーレ。
(でもドビュッシーは好きじゃなかったんですよねー、感情を揺り動かす音楽と思えなくて。エリック・サティもお洒落すぎてちょっと)
ミニマルな現代音楽の作曲家スティーヴ・ライヒ、フィリップ・グラスも、ちゃんと聴きたくなり。
弦楽四重奏団クロノス・クァルテットもいざ再び!
えー、あのー、冒頭の話に戻りますとね、
ふだん持ち歩きの音楽機器iPod Touchには、ダンス、エレクトロ、ポップ、ロックの「気分アゲ系」ばっか入ってるんですよ。
「好き」でいうなら映画も音楽も、心を楽にしてくれるエンタメこそが常に必要なんですよ。
でも、
「音楽にも映画にも、長く雑に付き合いすぎてたか」
そんな思いに駆られた、バング&オルフセン A1でした。
Bang & Olufsen A1サイト
www.bang-olufsen.com/ja/speakers/beosound-a1
写真 © 高橋一史
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